昔の借金について、債権者から請求通知がきた場合

昔の借金について、「債権者(債権回収会社)から突然請求の通知が送られてきた、どうしたらいいか」「聞き覚えのない会社から、請求の通知がきたが無視していいか」などといったご相談を受けることがよくあります。

 

この場合、いちばんやってはいけないこと、それは・・・

「よく書面も見ずに放置すること」「見て見ぬ振りをすること」

です。

 

お気持ちはわかります。人間ですから、振り返りたくない過去もあります。しかし、まずご自分が置かれた状況を把握することが第一です

 

では、「弁護士や司法書士などの専門家に丸なげしよう!」もちろんそれも構いません。むしろ、それが一番安心安全な方法ではあります。しかし、どのような状況であるか、まずはご自分でおおまかな状況を把握することは可能です。

 

ここでは、債権者からの請求通知について、通知書の中身を確認するポイントはなにか、よくある事例を取り上げご説明します。

過去に借金した消費者金融(または債権回収会社)からの請求通知は突然届く

数年前から支払いをしていない(または忘れていた)借金の請求通知が、消費者金融会社や債権回収会社(消費者金融会社から債務の譲渡を受けた会社)から、ある日突然届くことがあります。

 

放置せずに、まずは落ち着いて、その通知に書かれている内容を読んでみることです。では、書かれている内容について、確認すべきポイントを整理してみましょう。

通知書の中身を確認するポイントはここ!!

見覚えのある債権者か、または正式な債権回収会社か

請求書が届いたら、まずは、過去に借金をしたことがある会社か確認してください。見覚えのない会社でも、「○○債権回収会社」もしくは「弁護士事務所」となっていれば、元の債権者(ご自分が最初に借金をした消費者金融など)から、その債権回収会社が債務を譲り受けたか、または弁護士が債権回収の業務を依頼されている可能性があります。

 

債権回収会社等については、法務省が正式な債権回収会社は法務省のホームページに記載されています(「法務大臣が許可した債権回収会社」の一覧をご参考になさってください。なお、ここに記載されている会社名を違法にかたる業者もいる可能性もございます)。

最終の取引日(返済日)を確認する

本当に過去に取引がある場合、最終の取引日(返済日)が記載されていることがほとんどのはずです。

 

最終の取引日から5年以上経過(個人からの借入、または個人が信用金庫から借入した場合は10年以上経過)している場合は、時効により、返済義務が消滅する可能性があります。ただし、「消滅時効の援用します」という主張を相手(債権者)にする手続きをしてはじめて、債務の返済義務が消滅します。

 

この手続きは、ご自分でできなくもないですが、債権者とご自分で交渉するのはややハードルが上がります(相当の理由はあります)。弁護士や認定司法書士(法務大臣より簡易裁判所での民事事件業務を行うのに必要な能力があると認定された司法書士)にご依頼されるのが安心でしょう。

細かい内容を確認する

内容を確認するのは当然といえば当然なのですが、特に下記のような記載がないか確認してください。

 

裁判の事件番号が記載されていないか。

もし「事件番号 ◯◯裁判所 平成◯年(◯)第◯◯◯号」と記載されていれば、過去に訴訟を起こされているはずです。

※( )の中のカタカナが、

(ハ)の場合→簡易裁判所に通常訴訟が提起されている

(ワ)の場合→地方裁判所に通常訴訟が提起されている

(ロ)の場合、簡易裁判所に支払督促が申し立てられている

ことになります。(これらが確定すると、時効期間は10年になります。)

 

ただし、訴訟が確定していれば、債権者が「債務名義」というものを取得していることになります。この債務名義を持っていれば、強制執行を行うことができるため、財産や給料の差し押さえをされる可能性があります。

 

債権者からの提案(解決に向けてのご案内)が記載されていないか。

たとえば、以下のような記載がある場合があります。

1.一括・分割和解のご案内(減額和解・利息全額免除などの記載もあり)

2.優遇処置のご案内

このような場合、たいていは返答の期限が限られているので、すぐにでも返事をしなければ、という気持ちになるかと思います。しかし、先にも述べたように、消滅時効の期間を満たしていることもあります。

 

なぜ、債権者がこのような提案をするかというと、時効の成立を阻止しようとしている可能性があります。提案に対し、なんらかの返答(分割案に応じる、さらなる減額交渉など)をすると、「支払いの意思がある」とみなされてしまいます。(これを「債務の承認」と言います。)

 

債務の承認をしてしまうと、時効の中断事由となり、時効期間がリセットされてしまいますので、時効援用はできなくなります。

ではどうすればいいの?

①「まったく身に覚えがない、債権者名が怪しい。」などは無視してもよいケースもあります。しかし、債権回収会社に債務が譲渡されている可能性もありますから、内容を確認すべきです。

 

②「借金はしたし、債権者も見覚えがある(または、債務が債権回収会社に譲渡されている)が、消滅時効の期間が経過している。時効の中断にあたる債務の承認もしていない、訴訟も確定していない。」などは、消滅時効の援用ができる可能性が高いです。債権者に対し内容証明郵便にて、時効援用の意思表示をする手続きが必要になります。

 

③「提案されている」「訴訟がされている(確定している)」などは、放置してはいけません。今後の対応について、正確な判断をする必要があります。特に、訴訟が確定している(債務名義が取られている)場合、強制執行の可能性もありますので、早急な対応が必要です。

 

②と③の場合は、専門家にご相談いただけると安心です。当事務所の認定司法書士は裁判事務にも精通しております。気が重いかもしれませんが、債務に関するご相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

 

 

消滅時効の援用につき、さらに詳しく記載しています。

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