滞納賃料の回収・明渡の問題点と解決方法

単なる「滞納賃料が回収できない」という問題だけではない!

賃貸業を経営する大家様にとって、入居者の賃料滞納は頭を悩ませる問題です。1、2ヶ月の滞納でも、当然回収したいでしょうし、それ以上滞納が重なれば、信頼関係も崩れ、退去して欲しいとも思うことでしょう。

滞納賃料を放っておくと、実際にこんなことが困ります

「単に回収できなくて困る」というだけにはとどまらず、これを放っておくと、様々な問題がおこります。

たとえば、

 

・賃貸物件につき、金融機関でローンを組んでいる場合、賃料をあてにしていると毎月の返済に支障をきたします。

 

家賃は発生していも回収できていないので、経理上の問題が発生します。(「未収金」として帳簿に計上しなければなりません。)

 

・賃料を何ヶ月か滞納されていても、契約が続いている以上、新たな入居者を募集できません。

 

いくら賃料を滞納され、信頼関係が崩れたとしても、大家様が勝手に鍵を替えたり、荷物を運び出すといった行為はできません。(これらは正当な法的手続きにより進めなくてはなりません。

 

賃料を滞納した入居者が、荷物を残したまま行方不明になることがよくあります。その場合でも、上記と同様、勝手には部屋の中の物を処分できません。この状態を放っておくと、部屋の状態が悪くなり、次に入居者を募集する際、多大な修繕費用がかかります。

やむを得ず建物明渡し請求をする際にかかる時間と費用は膨大

建物明渡し完了までにかかる時間は4か月~半年以上!

滞納賃料を回収できず、建物明渡を請求するには、最終的には訴訟、強制執行を視野に入れる必要がありますが、強制執行まで進むと多くの時間と費用を費やします

 

訴訟提起してから判決を取得し、その後強制執行を経て明渡完了するまでに通常4ヶ月~半年はかかります。

 

訴訟を起こした際、家賃が払えなくなった入居者が行方不明になっていると、訴状を受け取ってもらえず、送達(訴状を送る)や訴訟の進行に時間を要し、2ヶ月~3ヶ月はかかります。

 

また、判決が出て、明渡の強制執行の手続きをする際も、準備から明渡しの断行までの全て完了するまでに2ヶ月ほどかかります。

 

建物明渡し完了までにかかる損失額は100万円以上にも!?

訴訟まで進むと、当然裁判費用がかかります。裁判所に収める費用としては、訴額に見合った収入印紙と郵便切手です。収入印紙の額は、100万円の訴額でも1万円ですから、それほど高額ではありません。それに郵便切手をあわせても、2万円程です。

 

しかし、訴訟を起こしても、未払い賃料を回収できる可能性は低いです。ここで数ヶ月分の家賃の損失が出ます。

 

さらに強制執行の申し立てまで進むと、手続きにかかる費用を裁判所に納める他(名古屋の場合建物明渡は6万円、さらに動産執行の申立をすると3万円プラス、駐車場の明渡も加わると3万円プラス)、退去にともなう業者などの費用が数十万かかってしまい、結果として大家様の経済的損失は100万円以上になることも少なくありません。

滞納賃料・建物明渡しの問題を解決するには専門知識が必要

未払賃料回収と建物明渡請求は並行して進める必要があります。

未払賃料を回収できればそれで一応問題は解決するのですが、結局その後も滞納を何度も繰り返したりすることがあります。滞納の原因がつかめており、住み続けたい(住み続けて欲しい)といった場合は別ですが、基本的に、滞納が重なり未払賃料が回収できないと、信頼関係も崩れ、立ち退いてほしいという流れになります。そして最終的な着地点としては、「建物の明渡(立ち退き)請求」ということになります。

 

訴訟を提起する場合は、この未払賃料も併せて請求します。したがって、このふたつの請求は密接に関連しており、状況に応じて、取りうる対策及び手続きを進めていく必要があります。

手続きの流れは?

大まかな流れは下記の通りです。

 

内容証明で手紙を出す(催告・解除通知)

任意での交渉(賃料請求・建物明け渡し)

訴訟

執行申立

明け渡し催告・断行

 

くわしくは明け渡し手続きの流れをご覧下さい。

賃料請求・明け渡し請求は自分でもできる?

賃料請求・明け渡しの手続きは、ご自分1人でもできないことはありません。

 

「賃料を払うつもりがただ単に忘れていた」とか「その時だけ払えない何らかの事情があった」など話し合いができそうな場合は、かえって専門家を入れることで感情的になってしまい、話し合いができなくなってしまうこともあります。まずは、ご自分で連絡を取ってみる、または内容証明を出してみるのも手です。

 

訴訟にして、強制執行までの手続きを利用すると、上記にも述べたように、多大な費用と時間がかかってしまいます。できれば任意の交渉ができるにこしたことはありません。

 

ただし、滞納者と全く連絡が取れない、行方不明になってしまっている、等の事実がある場合や、任意の交渉に全く応じてくれない場合は、明け渡し訴訟も視野に入れて、早めに行動すべきです。どうしようか迷っているうちに滞納家賃もふくれ上がりますし、部屋も傷んでしまいます。

 

訴訟の手続きについても、ご自分で勉強をされ、時間をかければできなくはありません。司法書士は、裁判所の書類を作成をする業務ができますから、作成が難しい書類の作成だけをお任せいただくこともできます。訴訟はご自分でやってみたい、というご希望に沿うよう、専門家を賢く利用していただくことも1つの手です。

 

当事務所では、ご自分で裁判をされたい方のご要望にもお応えできるよう、書類作成のみの業務も行っておりますその際、裁判の流れの説明等のサポートもさせていただきますので、ご安心下さい。


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